色彩文様研究所

鮫小紋

鮫小紋

御利益

こまかい 霰地(あられじ)の文様のように染めた小紋。鮫皮の表面に似ているところから言う。地は黒・黒茶・茶、小紋は白・灰・浅葱(あさぎ)などの淡色に染める。小紋を規則正しく並べたものを「行儀鮫(ぎょうぎざめ)」ふぞろいに連ねたものを「乱れ鮫」と称する。特に細かい柄には「極」とか「微塵」を冠して呼ぶことがある。[1]

小紋型 の一種で、細かい丸紋が、鮫の皮のような形に全面すきまなく染め出した小紋である。江戸時代に多く行われ、肩衣や裃(かみしも)に用いられた。[2]

文様の「乱れ鮫1」
乱れ鮫1
文様の「乱れ鮫2」
乱れ鮫2
文様の「行儀鮫」
行儀鮫

文献等の用例

  • 随筆・守貞漫稿 – 一七「鮫小紋<略>縦横正列するを行儀鮫と云、乱れ連るを乱れさめと云、行儀乱通しを通し小紋と云。<略>今は上下に用ひて羽折に用之稀也」(1854)
  • 腕くらべ<永井荷風>四「絽の鮫小紋に絽朱珍の帯を〆めた着こなしから」(1917)
  • 浄瑠璃・道中亀山噺 – 三「花色形の行儀鮫(ギョウギザメ)、崩さぬ姿」(1778)

脚注

  1. ^ 『文様の手帖』小学館 1987年
  2. ^ 岡登貞治『新装普及版 文様の事典』東京堂出版 1989年