色彩文様研究所
薔薇文
2021年5月20日
薔薇文
御利益諸願成就 災難厄除 病気平癒
薔薇 は、ギリシャ神話で美と愛の象徴とされ、西洋ではさまざまな装飾に用いられてきた。そのため、西洋の植物として認識されがちであるが、「さうび」の名で『古今和歌集(こきんわかしゅう)』の歌に詠まれたり、『枕草子(まくらのそうし)』(能因本)にも書かれている。これらは、中国原産の庚申薔薇(こうしんばら)で、長春花ともいわれるものとされる。
日本では、文様としては鎌倉時代の蒔絵や室町時代の水干(すいかん)にみることができるが、おもに鑑賞用の植物であった。江戸時代、元禄年間(1666〜1704)に一般に栽培されるようになり新種が日本に伝来しはじめると、鍋島藩主に代表されるような新しいものに敏感な人びとによってようやく文様としても普及するようになった。[1]
越後系 の型染に多く用いられる文様で、八重の長春から着想したものであろう、四季を通じて花を開くという長春は、雪の多い新潟県人の一つの願いともいうべきものを託したのであろう。[2]