色彩文様研究所

松皮菱

松皮菱

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松皮菱 は菱文を変形させたもので上下に小さい菱を付けた子持ち菱の形をしている。松の皮を剥がした形に似ているのでこの名前が付けられた。松皮菱の中に文様を入れたり、模様取りに使われたりする。桃山時代の頃に特に、流行したという。[1]

菱形 の上下にさらに小さな菱形を重ねた形の文様。また、その連続文様を言い、それに花をはめ込んだ「花松皮菱」などもある。松の樹皮の割れ方に似ているところから言う。松皮とも。[2]

菱形 の上下に小さい菱形を付けた、いわゆる子持菱形ともいうべきものである。すべて直線形で成り、左右均整であると共に上下も均整である。これが松の皮を剥がしたものに似ていることからこの名が生れた。家紋に用いられている。また形物香合に「呉須松皮菱」がある。松皮菱を立体化した形で太公望・童子・団扇持つ人などを文様として描いてある。[3]

文様の「松皮菱」
松皮菱
文様の「花松皮菱」
花松皮菱

文献等の用例

  • 延慶本平家 – 一本・忠盛昇殿之事「松皮の狩衣の下紫絲威の腹巻着て」(13世紀前)
  • 謡曲・調伏曾我「右巴は小山の判官、松皮は小笠原」(室町中期)
  • 近世紀聞<染崎延房>六・三「松皮菱(マツカハビシ)の紋付たる高張提灯などありけり」(1875〜81)
  • 門三味線<斎藤緑雨>一四「松川菱(マツカハビシ)染めし紋も揃ひの手拭」(1895)

脚注

  1. ^ 『日本・中国の文様事典』視覚デザイン研究所 2000年
  2. ^ 『文様の手帖』小学館 1987年
  3. ^ 岡登貞治『新装普及版 文様の事典』東京堂出版 1989年